• 2012/12/07

    2012スナイプ級西半球選手権

    North Sails Japan

    白石レポート

    全日本スナイプ級選手権の興奮が冷めやらない中、11月19日から25日にかけてアルゼンチンブエノスアイレスで開催されるスナイプ級 西半球選手権出場の為、私たち日本人チーム14名は11月15日 アルゼンチンに向け出国しました。

    ブ エノスアイレスまでの移動には約30時間かかりましたが、移動中はクルーや気の知れた日本人チームのみんなといろんな話をすることができ 非常に長い時間も比較的疲労も少なくリラックスした有意義な時間を過ごすことができました。
    ま ずホテルにチェックインしクイックシャワーを浴びてリフレッシュした私達は早速コンテナを開けレース艇の準備、整備、艤装品のチェック、 ドックチューンを行い海に出る準備を整えました。
    最 初の2日間はプレレガッタが開催され参加の各チームは調整と確認の作業に務め本番を迎えることとなります。
    事 前の気象情報では10ノットから20ノッ トの安定した南風、水深が非常に浅くチョッピーな波が立ちやすい、バウを浮かせながらのセーリングが不可欠であるということでした。

    し かし、本番前日プレレガッタとプラクティスレースを終え、現地の気象情報から予測できることは、レガッタについて微風から強風までの強弱 が激しく非常にトリッキーなコンディションとなる。
    そ のことから優勝争いに残るチームは当然事が求められるが、うまさと強さの両面を高い次元で発揮できるチームしかそこに残ることはできないと感じていました。

    私 がシリーズ前に注意している点は、
    1.目 の前の1レース、1レースに集中する。最終リザルトは後から付いてくる。
    2.ス タートルーティンは必ず毎回実行する。
    3.シ リーズ前半は第1マークの順番は15番以内でOKと する。
    4.アッ プウインドのスピードで一喜一憂しない、今まで作り上げてきたセール・トリム・チューニングを風波に合わせて正確に再現すること、コース、マーク 付近のタクティクスが順位を上げるキーポイントになる。
    5.フ リー特に上下のレグでのコース、スピードが重要で、フリートの中にあって風速に応じたスピード、角度とヘルムに集中する。
    上 記の5点を活字にすると簡単に見えますが、プレッシャーのかかった大きなレガッタで確実にスコアリングするには私たちにとって非常に重要 なポイントとなります。普段のトレーニングでアップウインド、ダウンウインドのボートスピードのレベルがそのフリートの高いところに有る 事が前提となります。これまでの 私 たちの成績はこの事をクルーとしっかり共有する事によって出せてきたものだと思います。

    この大会で使用したセールについては次のとおりです。
    私たちはここ数年、2種類のメインセールSW4とPR3をコンディションごとで使い分けながらレースを戦ってきました。今大会もこれまで通りその準備を整え迷いなくレースに集中する事ができました。
    メインセールSW4はすべてのコンディションで高さがとりやすくフラットウォーターの軽風、及び14ノット以上の強風でアドバンテージがあります。
    メインセールPR3はスピードが出しやすくデザインされておりラフウォーターの軽風から14ノットまでの中風でアドバンテージがあります。
    この2枚のメインセールは私たちの大きな武器でもあり、その最大の特徴は同じセッティングでベストなパフォーマンスを発揮できるところです。

    い よいよレース本番です。レース中に他国のいろんな艇とストレートラインでのスピード勝負となりましたが、何と言ってもノースセールジャパ ンデザインの セー ルを使用したチーム、特にこれまで日本国内で切磋琢磨した仲間達のスピードが速い。この事はレース期間中を通し徐々に確信となりスピード について大きな自信を持ってレースへ望む事が出来ました。同時に日本でデザイン、開発され世界中のノースロフトで作成されたノースラジア ルを使用しているチームの活躍が目立つではないですか。ノースセールラジア ル カットセールが9レース中6レースのトップフィニッシュを飾ることになり、どのようなコンディションでも日本で開発し他国とは全く違ったリグチューンとトラベラーシーティングのアドバンテージが証明されることとなりました。また、 今大会でのノースユーザーは70%を超えており蒲郡世界選手権の前年から始まったセールデベロップとチューンナップが、確実に実を結び世界中の多くのセーラー達の力になっていると思うとノースセールジャパンの一員として強い誇りを感じずにはいられませんでした。

    ノー スセールを使用した上位入賞艇は以下です。
    2位  アルゼンチン代表               Luis Soubie & Diego Lipszyc
    3位  ノースセールジャパン        白 石潤一郎、上田真聖
    5位  アイシンAI                        近 藤康史、石川真吾
    8位   アメリカ合衆国代表            Brian Kamilar & Enrique Quintero
    9位  オクムラボート                  大 井祐一、酒井則彰

    私 たちの今大会の目標は全日本の勢いをそのままにクレバーなレースを心がけること、最終レースまで平常心と向上心を忘れないこと、そして結 果として カッ プを日本に持ち帰ることでした。最終レースが終わるまでこの事は実行できていましたし、正々堂々と戦い抜くことができたと思っています。勝利は手の届くところまで、すぐ目の前まで降りてきていました。しかし、カップを手にする事はかないませんでした。
    最終レースを迎えた時点で優勝はトップのブルーノ組か2位の私たちに絞られていました。その差は3点差。しかし、私たちがカットレースを作ってしまうとブルーノ組がどのような順位であろうと彼らの優勝が決まってしまうという私たちにとって厳しい状況でした。
    最終レース、スタート5分前から約束通り、ブルーノ艇がマッチレースを仕掛けてくる展開となりました。私たちの最終レースはカットレースとなり西半球選手権は幕を下ろしました。

    成績表リンクhttp://bulkhead.jp/wp-content/uploads/2012/11/12.11.26_20.jpg

    このように追い込まれた状況で最終レースを迎えた原因は2つあります。1つは第4レースのゼネラルリコールでZフラッグルール20%のペナルティを受けてしまったこと、2つ目は第5レースでトラベラーコントロールロープのトラブルにより得点を重ねてしまったこと、どれもセーラーとしての未熟さが招いたものです。まだカップを手にする資格がなかったという事でしょう。ボートスピード、ストラテジー、タクティクス等参加しているどの選手よりも調子が良かっただけにこの私たちの2つの大きなミスは反省しても反省しきれず非常に悔しく、応援サポートしていただいた方々に申し訳ない思いだけが残ります。

    しかし、この大会では次につながる大きな収穫がありました。これまでノースセールジャパンが多くの時間とコストを掛けて培ったスナイプ級のボートスピードはオリンピックでメダルを量産している470級や他のワンデザインクラスと同様に世界のトップであることを確信した事、そして何よりも私たちを含めたノースラジアル使用の日本人チームがトップ10に3艇も入り、日本チームが来年9月にブラジル、リオで開催される世界選手権での優勝をしっかりと目標に定めたという事です。

    国内スナイプ級の競技レベルは蒲郡世界選手権をスタート地点にして確実にレベルを上げて来ています。必ず近い将来日本のチームが世界選手権でカップを手にする事を確信しています。
     
    Muchas guracias!!!!

    ノースセールジャパン 白石潤一郎