• 2009/09/18

    2009スナイプ級世界選手権レポート

    North Sails Japan

    9月4日から11日にかけてアメリカ・サンディエゴ サンディエゴヨットクラブにてスナイプ世界選手権が行われました。大会を振り返りレポートをお送りします。

    2009 SNIPE World Championship Report

    私たちチームノースセールジャパンは代表菊池誠、鹿取正信R&D担当、現地サポート ロイカンデフ、ヘルムスマン中村匠、クルー白石潤一郎の5人で8月26日に現地入りしました。USノースセールの29222ヘルムスマンBrian Bissell、クルーKate Sheahan、セールデザイナーGarth Reynoldsらと8月27日~9月3日までの間レースエリアにてノースセールジャパン開発の2ボートテスティングシステムを使用したスピードテストとレースエリアのチェック、コンビネーションのチェックを行いました。

    日々の生活はアパートを借りて5人で合宿です。自炊を中心にと思っていましたがふたを開ければレースが始まるまでの期間は友人の家に呼ばれ連日のパーティーとなりました。セーラーのつながりの深さに感謝でした。

    レースエリアの状況に関して、ここサンディエゴにてアメリカズカップのニッポンチャレンジを率いてきた菊池、過去にニッポンチャレンジに所属しサンディエゴを知り尽くしている鹿取の経験にもとづく情報、その他現地の情報では8ノットから12ノットの安定したシーブリーズの日が多く、波もフラットではないチョッピーコンディション、海藻が非常に多くその対策は重要であるという認識であり、先に行われたジュニアワールドでも10ノットから14ノットのチョッピーなコンディションで行われました。現地に入るまでは世界選手権でもこのようなコンディションで行われる可能性が高いと予想していました。実際に私たちはこの大会で2種類のメインセールPR2とSW3、ジブセールR2-LM×2枚を風速と海面のコンディションに合わせて使い分ける予定で準備を進めていました。

    しかし、サンディエゴに到着し27日からのセールテストを始めてみると3ノットから8ノットの軽風、フラットウォーターのコンディションが多く、このコンディションで確実にスコアリングするにはスタート後のピンチアップ競争に確実に競り勝ち、ファーストシフトを確実につかむ必要性を強く感じる事となりました。

    一方で8月29日に行われたプレワールドでは全4レースが、PR2とSW3のパフォーマンス、チューニングのチェック、レースエリアの風のチェック、中村と白石のコンビネーションのチェックを行い、全レースをトップフィニッシュしPR2、SW3のパフォーマンスは非常に高いところにあることを再認識しました。昨年から今年の7月にかけて国内で行ったスピードテストの結果を改めて裏付ける形となりました。テストに参加して頂いた皆様には心から感謝いたしております。

    8ノットから16ノットのチョッピーコンディションで最大のパフォーマンスを発揮するPR2と16ノットオーバーでパフォーマンスの高いSW3に加えここサンディエゴの軽風、フラットウォーターに合わせたメインセールを準備し本戦前日の週間気象情報を参考にその中から2枚をチョイスする作戦を立てました。即座にこの状況を本社、横浜ロフトのデザイナー上森信吾に伝え現行のPR2を微軽風、フラットウォーターでさらにパフォーマンスを向上させた形にリカットする為のデータを送ってもらい、ノースセール・サンディエゴロフトでPR2を浅くするリカットを行いました。私たちは、そのセールをPR-0と呼ぶことにしました。ここで行ったリカットは後に本戦で私たちの強力な武器となりました。

    私たちは8月30日~9月2日まで精力的にPR-0を中心にセーリングテストを行い3枚のメインセールのパフォーマンスを最大限に発揮できるように更なるチューニング、トリムの最終調整を行いました。9月3日には菊池と鹿取の2名は帰国しいよいよレース直前の感じになってきました。翌日4日にはロイのサポート受けながら中村、白石で最終的なボート、マストのメンテナンス、ボトムのシェイプ、ラダーのシェイプ、3枚のレース用メインセールと2枚のレース用ジブセール、予備備品の準備を完全に済ませ本戦を待つばかりとなり、10月5日は完全休養日とし心身の充実に努めました。

    10月6日計測最終日の朝に日本チャレンジも情報の提供を受けていたCommanders' Weather Corporationから最新の週間気象情報を入手、コンディションを検討した結果レース前半は10ノットまでの軽風、後半は10ノットから15ノットの中風が高い確率で予想され計測を受けるセールはメインセールPR0&PR2、ジブは予定通りR2-LM×2枚に決定しました。この日はプラクティスレースが行われましたがセールの選択をぎりぎりのタイミングで行う為に最終の計測順番を希望した影響もありプラクティスレースには途中からの参加となりました。この日はフィーリングの最終チェックと風の傾向をチェックし開会式となりました。

    下記が私たちの全11レースの結果とコンディション、使用したセールです。

    DAY1
    DAY2
    DAY3
    DAY4
    DAY5
    Race
    1
    2
    3
    4
    5
    6
    7
    8
    9
    10
    11
    total
    Wind
    8-10
    6-8
    6-8
    6-8
    6-8
    10-12
    12-16
    12-14
    8-12
    10-14
    8-12
    Score
    - 50 ocs
    17
    4
    6
    2
    10
    5
    8
    6
    1
    -19
    59
    Main
    PR-2
    PR-0
    PR-0
    PR-0
    PR-0
    PR-0
    PR-2
    PR-2
    PR-2
    PR-2
    PR-2
    Jib
    すべてのレースでR2-LMを使用。

    レースコースは全レースでWフラッグが掲揚され上下のソーセージコースでした。レグの長さは初日は0.8マイルその他は1マイルから1.1マイルありたっぷりとコースの長さをとっていました。

    今大会、私たちは世界一のスタッフで用意周到な準備と対策を行い、必勝で挑んだ大会でした。しかし、結果は4位でした。勝つことの難しさを改めて思い知らされました。なんといっても第1レースと最終レースは反省しても反省し切れません。特に第1 レースのリコールは残りの10レースの展開に深く影響していたことは事実です。世界最速のスピードを持っていながら守りのスタート、守りのコース展開を余儀なくされ最終レースを総合2位で迎えたにもかかわらず勝負に出る事が出来なかった最大の原因となりました。セーラーとしての未熟さを深く感じました。と同時にセーリングの奥深さを再認識させられ、次のチャンスがあるのならばこのステージに戻り勝利したいという衝動にも駆られました。

    優勝したBRA30546 Bruno Amorim、Dante Bianchi組には心から敬意を表します。彼らはスナイプを中心にここ数年頭角を出してきたチームのひとつで優勝候補の中の1艇でした。この大会中、私たちはクローズホールドのボートスピードに関して彼らより劣っていると感じたことはありませんでした。しかし、彼らのスタートからフィニッシュまでバランスのとれたレース運びと神がかり的な風の読み、全11レーススコアを崩さない精神力、学ぶべき点ばかりでした。やはり最高の舞台で戦う事で得られるものは大きいと感じています。

    今回レースが行われたサンディエゴヨットクラブは世界でも有数のヨットクラブであり、アメリカズカップを長年保有してきたクラブでもあります。多数のメンバーと船が所属しておりそのメンバーは休日、平日問わず非常に有意義なマリンライフを送っていました。クラブのエントランスにはきらきらと光り輝くカップやトロフィー、歴代の錚々たるメンバーの写真がずらりと並び重厚な雰囲気をかもし出していました。マリンレジャー、セーリング文化を培ってきたその長い歴史を感じる毎日でした。レースの運営も手馴れたものでひとつのミスも無く完璧なレース運営でした。レースの行われた海面はヨットハーバーから4~5マイルも離れていましたが、毎日朝10時前後のドックアウト時にはトーイングボートがきっちりとレース艇を海面まで運んでくれ、レース終了後は速やかに全艇をヨットクラブまで連れて帰ってきます。非常にスマートで洗練されたレース運営で気持ちよくレースに参加させていただきました。

    2005年蒲郡ワールド準優勝 松崎、杉浦組、2007年ポルトワールド準優勝 安部、山近組、2009年サンディエゴジュニアワールド準優勝 木山、稲田組、2009年サンディエゴワールド4位中村、白石組、と4世界大会連続で日本人が上位入賞しすぐそこに優勝カップがあるようにも感じます。もう一歩、もうあと一息というところまで確実に近づいています。スナイプセーラーの皆様次に優勝カップを持ち上げるのはあなたかもしれません。国内をさらに盛り上げ次の大会では日本人同士の優勝争いを演じようではありませんか。

    スナイプのレースはまさにSerious Fun! Serious Sailing!この大会でも参加者全員が最高に楽しい時間を過ごしていました。毎日のシビアでハードなレース、毎日の盛り上がるパーティー、皆さんもより高いレベルを目指してスナイプでのセーリングを楽しみましょう!

    最後にこれまで共にセーリングして頂いた皆様、この大会でサポートしていただいた皆様、応援してくださった皆様この場を借りて御礼申し上げます。

    P.S ばはるさん、国内セールテスト最終日の夜、居酒屋でおっしゃいましたよね『世界選手権優勝のいすは俺の為に空けて帰ってくるように!』と、ご希望に沿った形でこの大会配慮させていただきました・・・・これからもどうぞよろしくお願いします!

    ノースセール・ジャパン 白石潤一郎